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僕、デイル・ムワタリ。
ヒッタイト帝国の第一皇子 皇太子だ。
自分で言うのもなんだが、歳のわりにはしっかりしていると思う。

父はヒッタイト皇帝ムリシリ2世。
母はヒッタイト皇后ユーリ・イシュタル。
かあさまの本名は鈴木夕梨というらしいのだが、ヒッタイトに来た時からイシュタルと呼ばれていると聞いている。

二人は大ロマンスで結ばれたらしいのだが、かあさまが目を輝かせて話す出来事は、ず~と聞いてると聞き飽きた感じもする。
かあさまと、とうさまは出会ってもう15年以上経ってるはずなのだが、相変わらずのラブラブ状態で、時々子供の目には毒ではないかとお思うときもある。
元老院議長のイル・バーニも呆れ顔だが、ヒッタイトの繁栄もこの二人の関係があればこそと黙認してる。

時々、かあさまは思い出したように宮廷を抜け出す。
かあさまがいなくなると何も手につけなくなるとうさまの代りに、僕はかあさまを探す羽目になる。
こんな親を持ってると僕がしっかりしなくては仕方がないのである。

たまには僕もそっと宮廷を抜け出しても文句を言われる筋合いはないと思う。

そう思ったとき事件は起こった。

その日、僕は厩舎にいた。
かあさまの愛馬アスランの恋人(恋馬?)リヴィアの様子を見るためだった。

リヴィアは、二回目の出産が間近で、厩舎に残されていた。
最初の仔、セイランは僕の騎馬になっていたので、弟のピアは絶対に次に生まれてくる子馬をもらうのだと言っていた。

ピアは、しきりにリヴィアに話しかけたり、お腹をさすったりしていた。
そのピアから隠れるように、こっそりリュイ(か、シャラ)が僕に声をかけた。

僕は、いやな予感がした。

だって、双子の侍女はいつもかあさまの側にいて、こんな風に僕を呼ぶときには大抵、かあさまの行方が分からなくなっている時だからだ。

シャラ(か、リュイ)は、案の定、というか、イル・バーニが呼んでいると伝えた。

イル・バーニ・・・ね。

どうせ、かあさまが脱走してとうさまが仕事を放棄して困る、とか言うのだろう。

悲しいことにそんなことには慣れっこになってしまっていて、僕は馬丁の一人に馬場から僕のセイランを連れてくるように命じると、ピアに片手で合図してイルの所に向かった。

イルは、いつものようにとうさまの執務室の横の、宰相の間にいた。僕は執務室のドアをちらりと見た。
 中ではとうさまが、うろうろと歩き回っているはずだ。
そして、僕が入っていくと、泣きそうな声で言うのだ。
「デイル、大変だ。私のユーリがいなくなった!!」
 毎回のことなのに、どうしてあんなに大騒ぎできるのだろう。
そして、いつも言うこと。
「あいつは、皇妃としての自覚がなさすぎる。帰ってきたら、きつく言ってきかせないと・・」
 僕は、とうさまがかあさまに「きつく言ってきかせる」場面を見たことがない。
いつだって、僕に連れ戻されたかあさまが、しゅんとしていると(帰り道で、僕がさんざん説教するからだ)腕で強く抱きしめながら、かあさまにキスの雨を降らせる。
「ユーリどこに行っていた?心配したんだ。おまえがいないと私はなにも手につかない」
 甘い!甘すぎる!こんなことでは、いつまでたってもかあさまの失踪グセは治らないぞ。
「それで、イル・バーニ。かあさまはいつ頃いなくなったの?」
イルは、難しい顔をした。
普段、ほとんど表情が変わらないので、珍しいことだ。
「それが殿下、今回は少し様子が違うのです」
違う?アスランに乗って門を強行突破したのではなく、城壁を乗り越えたわけでもないのなら、行商人にでも変装して出て行ったのか?
「違うって?」
「はい、今回は、皇帝陛下もお姿が見あたらないのです」
僕は、しばらく黙っていた。
どう反応していいのか分からなかったから。
皇帝皇后両陛下が失踪なんて(イヤ、家出か?)、前代未聞すぎたからだ。
 
 さて・・と。僕は考えてみた、この前代未聞の皇帝皇后両陛下不在という現実を・・。
今、いくら騒いだ所で2人のいない現実に変わりはない・・。
「イル、とりあえずこの事は外部にもれないように、普通に・・そう何事もなかったようにしてて」
「・・というと、殿下には何かお心あたりがあるので?」
僕にそう聞くイルに向い、こう言った。
「あるわけないでしょー、あのお二人に関して(特に母様)だけは一体どういう行動にでるか、なんて   息子の僕にもわかんないよ」
でも、と切り返して僕は言った。
「あのお二人の息子だからこそ、僕がなんとか考えなくちゃね」
 「それにしても、お二人はホントに何処へ行ったんだろう」
ユーリとカイルの脱走(家出?)が、デイルの耳に届いてからすでにかなりの時間が経っていた。
母様だけなら、まだ予想はつく。
しかし、父様も一緒となると・・・何処まで行っているか分かったもんじゃない!!
「・・・あ~、何で僕がこんなに苦労しなくちゃいけないんだ!!」
「しょうがないですね、殿下。あのお二人を両親にもってしまったのですから。」
しれっとした顔で、イル・バーニがいう。
イル・バーニも、2人のために苦労しているから。
「僕たちって、似たもの同士かもね。イル・バーニ。」
「・・・私の方が、苦労してますよ殿下。」
苦笑混じりなのか、もうあきらめているのか・・・??
「う~ん・・・母様と父様が一度いった場所に行くはずないし・・・・・。いや、待てよ。
お二人でお出かけなのだから・・・もしかしたら・・・いや、いくらなんでも・・・・。」
「兄様、どうしたの?イル・バーニみたいな顔して。」
後ろから、ピアが声をかけてきた。
イル・バーニみたいな顔・・・?
「ここ(額を指す)にしわ寄せて!!」
「ピア、あっちいってあそんでなさい。」
イル・バーニの苦労が、いまさらながらにわかってきたよ・・・。
ともかく!!今度という今度は!!
しっかり反省してもらわなきゃ!!!!
デイルは両親の失踪にかなり機嫌が悪くなっていたので、そこは弟の勘か…
ピアはどうやらこの事件に気づいたようだ。
「兄様?もしかして…また母様がいなくなったの?」
「それがなピア…今回は父様もいないんだよ…」
デイルはため息をつく…ピアはしばらく明後日の方を見ていたが何かを思い出したようだ。
「ねぇ兄様!僕、父様と母様を朝見たよ!」
「なんだって!?どこで見たんだ!?」
デイルは弟を前にして詰め寄るように大声を上げた。
「知らないよ~ただ朝、リヴィアの厩に行った時に父様と母様が一緒の馬に乗ってどこかに行くみたいだったから…」
「ピア!父様と母様は何か言ってなかったか!?」
「う~んとね…そうそう実はね…
父様と母様に朝会って『どこに出かけるの?』って言ったら父様は、
『父様と母様の思い出の場所だ 2,3日で帰ってくるよ いい子で待ってるんだよピア』って言った…」

ピアの話を聞いてデイルは考えた…
ここから2,3日で帰ってこれる範囲で、両親の思い出の場所…
「う~ん…ハットゥサ郊外にあるリンゴの丘は2人の思い出の場所らしいけど…日帰りで行けるしな~」
しかたがないので母付きの女官・ハディに聞いてみることにした。
「ねぇハディ 父様と母様の思い出の場所で思い当たるところない?」
「はあ…陛下と皇妃様の思い出の場所?…ああハレブでは?」
ハディは思ったよりも直ぐに答えを出した。


「ハレブ?テリピヌ伯父様がいらっしゃるハレブ?何でなの?」
「はあ…それは…」
ハディはデイルに耳打ちで意味を教えた…

ハディに話を聞いた後…

デイルの顔は真っ赤だった…

両親がハレブで初めて結ばれた事実や4日間も寝所に篭ったことも…
(とにかく…これで父様と母様の居場所はわかったぞ!)

「兄様~お顔が赤いよ~?」
「何でもないよピア!ピア!父様と母様に会いに行こうか?」
ピアは目を輝かせると…
「行く行く~母様に会いたい~」
「誰か僕たちに馬を!至急ハレブに向かう!!」
こうしてデイルとピアは、両親を連れ戻す為にハレブに向かった。
とりあえず、イル・バーニには伝言を残して。


皇帝と皇妃とがいなくなった上に、皇太子と未来の近衛長官まで失踪したとあれば、倒れてしまうかもしれない(それも、ショックからではなく怒りのあまり)と心配したからだ。
失踪される迷惑さは、よく知っている。

でも、イルに言わなかったことがある
とうさま達が二、三日で帰ると言ったこと。

言ってしまえば、大人しくハットウサでお留守番をするハメになる。
今回のことは、イル・バーニが上手く収めてくれるはずだ。

だいたい、皇帝夫妻がそろって姿を見せないときは周囲には暗黙の了解があって、ことは大事にはならない。

二人が、後宮にいる(もしくは別の場所、例えばとうさまの寝室とか)と思われるからだ。
まさか、手に手を取って愛の逃避行とはおもわないよね。
この場合、二人が何から逃げているかというと、政務だ。

ぼくは、ピアと馬を並べて市街から出た。
後ろには、忠実な乳兄弟でもある双子が従う。


さて、どうしよう?
このまま街道を進むか、脇道を行くか。

とうさまとかあさまは、民衆に絶大な人気を誇っている。
二人が視察のために国内をまわれば、街道に近隣の住民が押し寄せてくる。
ひとめ二人を見たいと願うからだ。

だから、街道はありえない。
皇帝夫妻の顔を見知った人がいて、正体がばれる危険性があるからだ。

行くなら脇道だろう。
脇道は、宿屋が整備されていなくて野宿になるかも知れないけど、二人一緒だもの。

かあさまがいれば、とうさまは全く気にしないだろうし、かあさまといえば、以前の脱走の時、農家のわら小屋で寝たこともあるんだから。

ぼくは、脇道に馬を進めた。
ピアは、周囲をきょろきょろ見まわしながらついてくる。

まだ狩猟に参加させてもらえないので、外に出るのが珍しいんだ。
かあさまは狩猟が嫌いなので、ピアも無理に出たいとは思わないみたい。

後宮内で大人しく妹のマリエとかあさまとで留守番をする。
とうさまは、いつだって一番大きな獲物をしとめる。
そして、それを私のイシュタルに捧げる、とみんなの前で宣言するんだ。

ぼくも、いつかはとうさまより大きな獲物をしとめれるようになるはずだ。

その時、ぼくが獲物を捧げるのは誰なんだろう。
そんなことを思いながら僕は馬の腹を足で蹴りタズナを握りしめた。


拍手コメント返礼
tomoko 様
コメントありがとうございます。
天河のお話はまだ連載が終らなかった頃にHPで公開していたものです。
もう10年以上経つんですよね。
コメントをいただいた後に久し振りにこのお話を読み返してみました。
文章も今とは違っていることに気がつきました。
書き直したい気分が沸々。
今ならもっとうまく書ける気がします。
BY ひー(2014・1・26)

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(イル・バーニ 編)

「陛下!!皇帝陛下は何処ですか!!」
今日も朝から、王宮中にイル・バーニの声が響く。
カイル皇帝陛下とは長い長いお付き合いの、乳兄弟でもある優秀な側近だ。
しかし、このイル・バーニ。
いつでも皇帝陛下のことを思ってはいるのだが・・・・・。
「陛下!!」
実は今、悩んでいることが・・・。

それは、親愛なる皇帝陛下の事。
皇帝陛下は、ずっと前から「自制心、自戒心をもった正妃」を探していた。
そして最近、その女性を見つけ、結婚なさったばかりなのだ。
しかし、そのせいで・・・。
皇帝陛下は、政務をやらなくなってしまったのだ「ユーリ様!!ユーリ様は何処ですかぁ!!」
「イル・バーニ。私ならここだけど・・・・。」
陛下は見つからないから、ユーリ様の所だろうかと思ったんだが・・・。
あぁ、この方が、陛下の御正妃。
この方は、とても素晴らしい方なのだが・・・・。
「陛下を知りませんか?私がちょっと目を離した隙に、いなくなったんです!!」
「えっ!?カイルは、政務が終わった・・・・あっ!!」
「・・・ユーリ様、陛下の居所、ご存じですね?」
ぴくぴくと、額の青筋が動く。
「・・・・・・・・カイル、出てきて。うそつき!!」
陛下は、ユーリ様のお部屋から渋々出てきた。
なんだか一人でうれしそうな顔をして・・・・。
「やぁ、イル。どうしたんだ?」
「「どうしたじゃない(ありません)!!!!!!!」」
イル・バーニと、ユーリのダブル攻撃。
カイルは、渋々と政務室に戻っていった。

「全く、カイルったら。イル・バーニ、陛下をよろしくね」
ユーリ様はそういって、どこかへ去っていった。
あぁ、結婚したら少しは落ち着かれると思ったのに・・・。
まだまだ、私の苦労は続くのか・・・。
ふと、ハディがいったことを思い出した。
「陛下も、ユーリ様も、おひとりならば100のお力を持っているのに・・・。
 お二人そろうと、100+100=200にはならずに、100+100=0になってしまうんですね」
しみじみといっていたハディの気持ちが、ようやく分かった。その通りだ。
「イル!!早く政務をするんだ!!ユーリに会えないだろう!?」
私の苦労は、いつになったら終わるのやら・・・・・・・・・。
                                          (イル・バーニ編・完)     

 


(ハディ 編)

「ユーリ様、今日はこのようなお召し物はいかがですか?」
「ん~・・・パス!あたしはこれでいいや。」
と、いつものように男の子用の服を身につける。
せっかく、ヒラヒラドレスを用意したというのに・・・(ちっ)
ユーリ様が御正妃になられてから、まともなドレスを着たのは数えられるほど。
普通の方なら、もっともっと催促なさるのにぃ~~~~~!!!!
これでは、私の女官の腕の見せ所がないではないか!!
「・・・ねぇ、ハディ。なんでみんなは私にドレスを着せたがるの?」
ふとした質問。
何・・・?
「そうですわねぇ・・・それは、ユーリ様がお美しいからですわ!!」
本当なんですよ、ユーリ様。
ユーリ様は着飾りがいがありますのに・・・・。
最近では、お召し物も、湯殿もすべて一人でなさってしまって・・・。
私達はつまらないんです!!

「ハディ!!ねぇ、ねぇ。ちょっと一緒に出掛けようよ!!」
いつものユーリ様の脱走。
まぁ、今回は声がかかったからいいものの・・・・・。
「では、陛下にも報告してから・・・・・。」
「いや!!だ~め、内緒!!」
ユーリ様がこのようにいうときは、たいてい陛下とけんかなされたときだ。
そういえば、朝、何となく雰囲気が違ったな・・・・・。   このような時は、とりあえず聞いて差し上げて同情すれば、収まったりもするのだ。それで収まらない時もあったが。
「ユーリ様、陛下と喧嘩でもなさいましたか?」
「喧嘩なんかじゃない!喧嘩だったら私も悪い事になってしまうもの。あれは、絶対にカイルが悪いの!!だって、今日は、絶対に、ひらひらドレスを着て、一日中部屋にいろって言うんだもの。いやって言ったら、これは、皇帝命令だなんて言い出すし。」
「まあ」
陛下もいったいどうしたというのだろう。そんな事をユーリ様に仰っても素直に聞かれるわけがないのに。
「ね、だからカイルに内緒でちょっと一緒に出かけようよ!」
「しかし…いつもはそんな事仰らないのに、今朝は仰っていらしたのであれば、せめて今日は出かけない方がよろしいのでは?」
どんな理由があるにせよ、ここで脱走を食い止めないと、例のごとく、陛下に当たり散らされるのは、私共側近なんだから!
「イーヤ!何でそんな自分勝手な言い分に従わなきゃいけないのよ!何が何でも脱走する!いいよ、ハディがついて来てくれないんなら、私だけで行くから。絶対陛下に告げ口しないでよ!」
うーん、どうしよう。このままだと、いつもより、当り散らされるのは必至だし。私もご一緒して、気晴らししちゃおっと。
「いいえ、お一人でなど危険です!私もご一緒させていただきます。」
表向きは、ユーリ様お一人では危険という事にしておかないと、後で、帰るときに、陛下のお怒りが恐ろしい・・・。


話は、ちょっとハディから離れて執務室。
「なぁ、イル。ちょっと早めに休憩にしないか?」
「いーえ、まだ早すぎます!休憩までは、あとたっぷり2時間はありますし、第一、今日は執務室に来られてから、ちっとも御政務がはかどっておられないではないですか。さーあ、御政務御政務。」
「ちっ」
ユーリは部屋にいるんだろうか?あいつの事だ。十中八九、部屋にはいないだろう。今朝は、その事で喧嘩になったし。せめて後宮内ならいいのだが、脱走などしていないだろうな。今日は私の誕生日だから、せめて今日位心配などさせてほしくなかったんだが・・・。




話はハディに戻って、市街地の中。
「ねえ、ハディ。あっちのお店見てみようよ。面白そうだよ。」
「ほんとですわね。ちょっと覗いてみましょうか。」
「これとか可愛い!」
「私はこっちの方が・・・」   正直言ってハディは、今日は何か特別な日だったのではないか・・・と、思っていた。
しかし、陛下に関する特別な日はユーリ様が決めたのだから忘れるはずはないし・・・。
まぁ、今の時代。
カレンダーもないのだから日にちがこんがらがってしまうのも無理ないが。
「ねぇ、ハディ。カイルは、どんなものがいいかな?」
「え?」
「だーかーら!!プレゼントだよ。今日はカイルの誕生日って決めたでしょ?
 ヒラヒラドレス着ろっていったのもわからなくないけど・・・とりあえず、カイルが政務やってる
 二時間のうちにプレゼント決めなきゃ!!」
そうだ!!
今日は陛下の誕生日ではないか!!
ユーリ様が、私達側近全員の誕生日まで決めて下さった。
そうだそうだ!!
じゃぁきょうは、早めに帰って支度を・・・・・。
「ハディ!!帰ろう。」
プレゼントが落ち着いたらしく、ユーリ様はご機嫌だ。
「では、ユーリ様。戻りましょう。」

「なぁ、イル。休憩まで後どのくらいだ?」
「あと、一時間と四十三分です。先ほどから、五分も経ってませんよ。」
カイルには、その五分が二時間に感じた。
ユーリのことが心配で心配でたまらないのだ。
「ですから陛下。お願いですから、おとなしくしてください。」
イル・バーニ、今日もまた苦労の日となった。

「リュイ!シャラ!ごちそう作るわよ!!」
「「はい!!姉さん!!」」
「いい?湯殿にはこれを・・・あっ、それは寝室に・・・・そうそう、それでここは・・・・・。」
妙に張り切っているハディ。
今日もしっかりと幸せになっていただきますわ、ユーリ様。
そうと決まれば、まずは湯殿からですわね。
久しぶりに、フルコース完璧にやらせていただきましょう!!
 皆様こんにちわ。ご機嫌如何ですか???
私はヒッタイト帝国第二皇女エイミともうしますわ。
ココで少し私の家族構成を紹介いたしますわね。
まずは、お父様。お父様は近隣諸侯まで賢帝と名をはせるタバルナ(皇帝)カイル・ムルシリ。
お母様は、女神イシュタルの化身と評判のタワナアンナ(皇妃)ユーリ・イシュタル。
そして賢帝と女神の第一子として又皇太子としても将来を期待されているディルお兄様。
第二皇子のピアお兄様は武官としてこの得長官の座を約束されているの。
第一皇女のマリエお姉様は、お母様譲りの黒髪黒い瞳象牙色の肌をしてらしていて、しかもとっても美しいの。
帝国中の殿方の憧れの的ですの。
でも活発なお母様とは正反対のおしとやかな方なの。(引っ込み思案というか消極的というか)
そして、シンお兄様。シンお兄様はとっても頭の良い方なの。
私、シンお兄様にお勉強を教わった事がありますの。
そして今の末っ子は私。
私とピアお兄様はお父様譲りの琥珀色の髪をしているの。
瞳は、ヘイゼル色なの。シンお兄様は、黒髪に白い肌なんですの。
さあ本題に入らせていただきますわね。
この頃マリエお姉様の様子が変なんですの。
何かこう誰かに想いを寄せている様なんですわ。
誰なのかしら・・・??
でもお姉様ってすッごい消極的な方なんですのよねー・・・。
まあ、お姉様ならどんな方でも選り取りみどりだとはおもううけれど。
デモ!
かわいい妹としてはお姉様には本当の恋をしていただきたいわ。
皇女としてはでなく普通の娘としての。
よーし!!お姉様に聞かなくっちゃ。
私の性格はお母様譲りですの。
一度きめた考えはつらぬきとうしますわ。
「マリエお姉様ー。何処にいらっしゃいますの????」
私は後宮中に響く声でお姉様を呼びましたの。
「なあに??エイミ。大きな声を出して。はしたないわよ。そんなに大声をださなくったってわかるわよ」
お姉様はお部屋で書物をお読みになっていらしたのね。
にしても何かヘンだわ。
そういえばなんか今日のお姉様いつもと違うわ。
いつもならもっときつい口調で起こられるに・・・・???
なぜか今日のお姉様は、いつもより優しい口調だわ。何かいいことでもあったのかしら???
「お姉様。私お伺いしたい事がございますの。」
「なにかしら???わたしが答えられることなら答えるわよ。」
ふーん。
ならもう単刀直入に聞いた方が早いわね。
私まどろっこしことって嫌いよ。
「お姉様。お姉様には好きな殿方はいらっしゃいますの???」
「イ・・いきなり何を言うのよッ!!エイミッタラ!!!/////////」
ふふやっぱりね。
お姉様かなり動揺してらっしゃるわ。
私のよみはあたったのね!!!!
「誰ですの?お姉様!!!教えてくださいませ!!もしかしてギュゼル様のところの次男のオニキス様???それともハレブの伯父様の長男のジムナスティ様??」
私は身近にいる皇族の方の名前を挙げましたわ。
それもルックスのよさもふまえて。
お姉様ってファザコンの気がありますから。
顔とかもお父様に引けを取らない方に想いをよせておっれるかも知れないわ。
「-・・・誰にも言わないって約束できる????もちろん!!お父様やお母様ディル兄様ピア兄様シンやハディたち後宮女官にもよ!!!!」
「できます!!!ですからお姉様教えてくださいませ!!さっき申し上げた方のなかにいらっしゃいますの????」
よーし!!ここまできたらとことんききだしちゃうんだから!!!
ユーリ編

「うう・・・・・う~ん・・・・・・・うううう・・・・・・」
ある日の夜のこと。
いつもの通りに事が済んで、心地よい眠りについていたときのことだった。
ユーリは夢を見ていた。
久しぶりに見る。
「・・・リ、ユーリ!おきろ!!」
「・・・・・・っ!カイル!!・・・そっかぁ、よかったぁ・・・・・」
ユーリのうなされている声に目を覚ましたカイルは、ユーリを素早く起こした。
何が起こっているかは、カイルには分かっていない。
「どうしたんだ、ユーリ。いったい何が・・・・・」
「夢、を見たの。怖かったよぉ・・・・・!!」
「そうか・・・・どんな夢だった・・・・って、ユーリ!?」
ユーリはカイルの腕の中で、再び眠りについていた。

そんなわけで、カイルがユーリの夢の話を聞くのは明日の朝になるわけだが・・・。
カイルとしては、いつまたユーリがうなされるかわかったもんじゃない。
そんなわけで、カイルは徹夜するはめになってしまったのだ・・・・・。

「・・・・ふぁあ・・・。あっ、カイル。どうしたの?早いね」
いつもは自分の方がおきるのが早いので、不思議に思う。
カイルは、「徹夜していた」なんて、言えるわけがない。
そういったらユーリは「なんで!?」と、聞き返してくるだろう。
つまり!その話で、ユーリとの話の時間がなくなってしまう。
「いや、ちょっと。・・・・で、ユーリ。昨日のお前の夢はなんだったのだ?」
ユーリの顔が、はっとする。
思い出しただけでぞっとするものなのか??
「思い出しただけでも、ぞっとするよ・・・・・。」
図星か!?
「無理に言わなくてもいいんだぞ・・・・・。」
「恐ろしいものを見たの・・・・・。この時代に来て、そんなものとは久しくおさらばしてたのに。
 今になって、夢を見るなんて・・・・・」
「なんだ・・・・それは・・・・?」
滅多なことでは動じないユーリが、こんなにおびえているなんて・・・・・。
ユーリの時代には、いったいなにがあったというのだ!?
「・・・・・テストの夢!!あ~、今考えただけでもぞっとするよぉ!!!!!!
 頭の中に、数学の計算問題や、理科の問題や、英語の単語や・・・・・・・・・。
 この世界に来てからは、そんなものとは無関係だったのに!!!!!!!!!あ~~・・・・・」
「スウガク?リカ?エイゴ・・・・・??なんだ?しかも、テスト・・・・・??」
「あぁ、カイルは知らないのね!?いいなぁ、本当に!!あたし、受験終わってからこっち来たけど、
 受験終わるまでは毎日毎日繰り返し見たんだ!!恐ろしい・・・・・・。お母さんに、勉強しろって
 怒鳴られる夢、塾の先生に怒鳴られて、学校の先生に怒鳴られて、テストは赤点で・・・・・・!!  
 今思えば、こっちの世界に来てテストと別れられてうれしいよ!!」
そうか、ユーリはテストとやらが怖いのか・・・・。
しかしいったい、それは何処に生息しているものなのか・・・・・。
カイルは、おもいっきり勘違いしていた。生き物だと思っていたのだ。    「で、ユーリ。そのテストというものは、どこに生息しているんだ?」
カイルはそのままに言った。
ユーリは、はぁ・・・??という疑問でいっぱいの顔だ。
「だから、この世界にはない・・・っていうか、生息なんて元々してないよ」
「??では、そのテストというのはなんだ?」
ユーリの知っているものは、とりあえず知っておきたい。
全部はとうてい無理だろうから(ユーリに聞いても無駄だろうし)とりあえずは、ユーリの口からでた言葉の意味はすべて把握したい。
それがカイルの考えだったわけで・・・・・。
「つまりテストっていうのはね・・・・。その人の、知識をはかる・・・試験・・・・・」
「シケン?その人の知識をはかるものをテストというのか?」
「うん。・・・・カイルは、テストしたことないの?」
うう~ん・・・・・どうだったか・・・・?
自分の能力を測ることなら、したことはあるのだが・・・・・。
「なんとなく、わかった。まぁ、それはいいだろう。・・・で、ユーリ。それがなぜ恐ろしい?
 自分の能力を測るものならば生きているわけではないのだろう?」
「うん。でもね、そのテストで悪い点数をとってしまうとお母さんに怒られるの。
 カイルはなかった?勉強してて失敗して、怒られること」
「私は、失敗したことがない。(きっぱり)」
やけに自信ありげに言うカイル。
ユーリは、がっくりしてしまった。そして、しみじみ思った。
『そぉだよねぇ。あたしが受験で困っているとき、この人は遊んでたんだもん。
 しかもその前に、難しい勉強おわらせてるんだろうなぁ・・・・・。』
カイルはカイルで、しみじみ思っていた。
『・・・そういえば、ユーリはここで暮らすことになったからここの言葉を教えたが、私は
 ユーリの国の言葉を知らないな・・・・・』
よし!!!!!!!!
「ユーリ、お前の国の勉強を教えてくれないか!?」
「カイル、ここの国の勉強を教えてくれない!?」
二人が言ったのは、ほぼ同時だった。   「ここの国の勉強といってもな・・・・。」
しばらくの沈黙の後、さきに口を開いたのはカイルだった。
「ねぇ、ダメ?言葉は覚えたし、政治関係も覚えたけど他はさっぱりだもん!!」
「じゃぁ、お前の国の勉強も教えてくれるか?」
交換条件。
こうして次の日から、ユーリはカイルにカイルはユーリに勉強を教え始めた。
                                  (ユーリ編・完)     



ハディ編

「ふわぁぁ・・・・。」
大きなあくびを一つ、ユーリ様がなされた。
この頃ずっとこの調子だ。
原因が分かっているので、対処の仕方もあるはずなのだが・・・・・ない。
全く、ない!!
「ユーリ様、お部屋でお休みになられますか?」
・・・・・。
しばらくの沈黙の時間。そしてユーリ様は、大きく首を横に振った。
「外へ行くわ。眠気覚ましに。ハディ、一緒に行こう!」
陛下から、『誰か連れて行くのなら、少しは、外出してもいい』と、許可を得ていたユーリ様。
これも、毎晩の成果ですね!!(ほろり)

「う~~~!!きもちい!ね、ハディ!」
丘の上までアスランを走らせて、今はのんびりおくつろぎのユーリ様。
心地よい風も吹いていて、とても気持ちがいい。
「あっ、ねぇ、ハディ!今日はお祭り?」
城下町を指さして、不思議そうに問う。
「あぁ、あれは、動物鑑賞会ですわ。年に一度、自分のペットを見せあうんです。
 模擬店なども出ていますよ。」
「よし、いこう!」
ユーリ様は、言うが早いかアスランに乗り込んでいた。
・・・・・今、なんとおっしゃいましたか?あそこへ、いく!?
動物がたくさんいる・・・・。
「ハディ、早く行こう!」
あそこにはきっと、ペットとしては結構有名な・・・・あの動物もいるはず・・・・。
しかし、ユーリ様のご命令だ!
命を捨てる覚悟で、街へ行こう!!!!!!
「・・・ハディ、そんなに緊張しなくても、私、あぶないことしないから・・・・。」
いえ・・・
ユーリ様をご心配申し上げてるわけではなく(ちょっとは不安はあるが・・・)
私どうしてもあの毛がふさふさでニャーと泣く生き物が苦手なのでございます。
見ただけで卒倒しそうなほどに・・・
そうとは知らないユーリー様。
両手に高く抱いた白い小さな生き物を「かわいいよ」と私の鼻の先に・・・
やっぱり、私卒倒して倒れてしまいました。
お願いですユーリ様、その恐れしいものを私の目の見えないところへ・・・
「ネコ嫌いなの?こんなに可愛いのに・・・」
私の苦手なものを発見したユーリー様。
私から逃れるときはこの手が使えるなんて思ってませんよね?
そのほうがよっぽど私にとっては恐ろしいのですから・・・
                                           END
「ユーリ!足に怪我をしているではないか!キックリ、至急医師を呼べ!!」
足を挫いたらしく座り込んだまま、動けなくなっているユーリを抱き上げながら、カイルは指示をだす。
「たいした事ないよ。お願いだから降ろして!」
ユーリはあわてふためき腕の中から、もがき降りようとする。
「左足をひどくくじいている。無理をしてはいけない」
「でも!!」
「でも 何だ。」
「だって。だって、だって・・・」
だんだん消え入りそうなこえで
「だって・・・あたし・・・重いし・・・」
ユーリは、顔を真っ赤にしながら言った。 
日本生まれ、日本育ちのユーリにとって、人前での(人前でなくても)『お姫様だっこ』は、当然なれていないし、かなりはずかしいものがある。
カイルは、初めきょとんと目を丸くして、すぐ合点がいった様にクスクス笑いながら
「前にも言っただろう。お前は痩せ過ぎだと。逆に軽すぎるくらいだよ。」
ユーリに口づけを交わす。
「お前は私の妃。大人しく私の側にいればよい」
「でも・・・・」
「それはそうと、ユーリ、どうしてこんな所にいるのかい?」
「あっ・・・それは・・・」 やば~。ユーリは心の中で舌打ちをした。
ここはカイル皇太子殿下の宮、大きな木がある城壁のそば・・・ そう!ユーリが宮をお忍びで脱け出す時のルートになっている。
いつも?のように街へ出掛けようとしていた所、カイルが戻って来るのを見かけて、あわてて木に登ったところを降りようとして、着地に失敗し、足をひねったのだ。
「ユーリ?」
心なしか(絶対だろう)少し怒った様な琥珀色の相貌が答えを求める。
「ごめんなさい。」
ここは観念した方がいいようだ。素直にユーリは謝った。
「悪い子だ。少しお仕置きが必要だな。だが、その前に治療が先か・・・」
ユーリを抱きかかえ部屋にむかいながら、カイルは言った。
「あら!ユーリ様。どうかなさいましたか?」
さわがしい様子に気がついた三姉妹があわてて駆け寄って来る。
「ハディ、ユーリが怪我をした。医師を呼んだのでベッドの用意を」
「まぁ!ユーリ様がお怪我をなさったのですか?はい、ただいま。」
双子達が走って行った。

部屋に着くとすでに用意が整っており、有無を言わさず即座にベッドへ寝かされる。
体を拭いてもらい、夜着に着替えた時にタイミング良くキックリに連れられた侍医が飛び込んできた。
「よく、こんなになるまで我慢しましたな。かなり酷く捻ったみたいです。直るには相当時間がかかります。これでは骨折した方が楽でしたな。」
ほめられているのか、あきれかえられているのか分からない言葉に、ユーリはただ
「はぁ・・・」としかいえなかった。
横ではカイルが、怖い顔をしながら黙って侍医の言葉をかたむけている。その後ろでは、ハディ達が、あぁやっぱりユーリ様から目を離すのではなかったとショックを隠しきれない様子でうなだれながら控えている。
「今夜あたりから相当熱が上がるはずですから、しばらくは絶対安静に願います。湿布は腫れがひくまでは3時間おきに変えるように」最後にそう言い残して医者は帰っていった。

「ユーリ。分かっているとおもうが、完治するまでは絶対安静。外出禁止だからな!」
カイル皇子の言う所の『外出禁止』は外に出られないんじゃなくて、ベッドから一歩もだしてくれないんだよね・・・まぁ自分が悪い訳だし・・・ユーリはため息をついた。

暇だ・・・ユーリの予想どうりベッドから一歩も出られない状況がだいぶ続いていた。
でも、暇なのはまだ我慢ができるんだけど・・・・

お風呂に入りたいと頼めば
「風呂にはいりたい?まだ熱も下がってないだろう。駄目だ。大人しく寝ていろ」
「汗かいたし、頭も洗いたい。熱だって微熱程度だよ。」
「だめだ」
「もう大丈夫だよ。」
「絶対安静といったはずだ。」
「でも・・・」
「汗掻いたというのなら、わたしが体を拭いてやろう。」
「ちょっ・・ちょっと、カイル皇子?!」
カイルはユーリの肩に手をかけ、夜着を脱がしていく
「いいよ!自分でやるよ!」
ユーリは顔を真っ赤にしながら、服をおさえる。
「無理してはいけない。」
「無理してないってば!」
「体を拭くだけだ。怪我人をどうこうする趣味はない。安心しなさい。」
「そうそう、着替えもしなくてはいけないな。」
それからというもの、カイルがユーリの体を毎日ふき、着替えさせている。カイルはとてもうれしそうだ。(ハディ達にしてもらいたい。といっても、無視されてしまった。)

食事といえば、寝たきりなので、当然お腹があまり空かない。食べないでいると、
「ユーリ、食欲が無いのだって?それはいけないな。どれ、私が食べさせてあげよう。」
カイルに口移しで、食べさせられる。(やっぱりカイルはうれしそうである)
「寝て、起きて、運動もしないで、食べてばっかりだと太っちゃうよ!」
ふてくされながら、抗議すると
「太る?それは大変結構じゃないか!お前は痩せ過ぎなんだから。安心して太りなさい」
「そりゃ、胸とかに肉がつけばいいけど、お腹とかについたらどうするのよ!」
「大丈夫だ。わたしが保証する」
「何の保証よ!」
「いいから黙って食べろ。それとも口移しがいいのか?」

・・・と、全てがこんな調子でカイルの手を借りなければならないのが我慢できない。
いくら二人きりとはいえ、かなりはずかしい。
あたしは皇子とちがって人に常に見られるって事に慣れてないし、慣れる気も無いんだからね~!!!羞恥心という言葉を知らんのか!ユーリは心の中で叫んでいた。
本当は口に出して言いたいのだが、言ってみたところで聞き入れられやしないという事をよ~っくユーリは知っていたからである。
やれやれ・・・あとどれくらいこうしていなきゃいけないんだろう?
ユーリは深いため息をついた。(もちろんその間ユーリを独り占めしていたカイルは上機嫌である)

1週間後熱が引いた。
「まずは、一安心ですな。少しくらいなら、外に出てもよいですよ。」
ようやく医者から待ち望んでいた一言。
一番よろこんだのは、言うまでもなくユーリである。
やっとこれで寝所(カイル)から開放される。そう思えば顔も自然とほころんでくる。
しかし、カイルはこれくらいで開放するほど、甘くはなかった。
にっこり笑いながらカイルは言った。
「ユーリ、熱が下がったとはいえ、まだ足が腫れているではないか。外に出てはいけないよ。」
「えっ??」
「捻挫はくせになりやすいんだ。よく治して置かないと後が大変だよ。」
「だって、お医者様が、少しくらいなら、外に出てもいいって・・・」
「わたしは、完治するまでは絶対安静だといったはずだ。」
鶴の一声ならぬカイルの一言でまた寝所に縛りつけられる生活が再開した。
いつまでこうしなきゃならないんだろう・・・ユーリは、がっかりした。

それから3週間後。
「もう、大丈夫。何をしても大丈夫ですよ。」
医者からやっとお墨付きをもらった。
今度こそは・・・!やっとこれで寝所(カイル)から開放される。
ユーリは、心の底から喜んだ。

しかし、やっぱりカイルは甘くない。意地悪そうな表情を一瞬だけみせて
「ユーリ、お前は宮を脱走しようとした罰をまだ受けてないだろう?ちょうど良い機会だから、宮廷マナーをしっかり身に付けてもらおう。マスターできるまでは外出禁止だ。」
本当に嬉しそうにユーリに告げた。
「そんな~そんなの詐欺だ~」
やっとこれでカイルから開放されると思ったのに・・・
ユーリは、目の前が真っ暗になった。
ユーリの本当の受難?はこれからスタートするようだ。
 ユーリ。

オレはお前が欲しかった。

お前は王の隣に座り王と同じ考え方ができる女。

だから欲しかった・・・。

天にそむいても 、 誰に邪魔されても。

いつかは自分のものなるとずっと信じていた。
              
気づかなかった。

お前がこんなに愛しいと。

惚れてしまったと気づきたくなかった。

それを知って失った時のくやしさを知りたくなかった・・・。

でも、もうお前はアイツのもの。

心も 体も 全て・・・。

<<なんでアイツなんだ!なんでオレじゃいけない!?>>

その言葉をのみこんで手放した・・・。

ユーリ、オレを選ばなかったこと後悔させてやる!!

忘れんなよ!!
           

天国と地獄(投稿小説より)          作 YUKIさん


水面に漂う翳。
見つけた!  
すぐさま冷たい身体を抱き上げる。
海で冷え切った身体。
 「ユーリ!」
呼びかけるが返事は無い・・・。
心臓を鷲掴みにされたように身体の内側から苦しくなる。
あんなにも軽かった身体が今は意思を持たず腕に重い。
何故手離したりした?
何故手離した!?  
決して離さないと誓ったはずなのに!!「!!」  
ここはどこだ!?  
ユーリは!?  
周りをゆっくりと見渡して思い出す。
ここはウガリットの王宮。
まわりを占めるのは重苦しい静寂。
身体をつたう汗はじっとりと纏わりつき衣服を湿らせる。
あれが行方不明になってからどれくらいたっただろうか? 
毎日見る夢、あれは何だろうか?  
わたしは海に漂うユーリを発見する。
海の中から抱き上げるがいつもその身体には意思の力が無かった。
いったいどれだけ待てば帰ってくるのだろうか? 
どこでとうしているのだろうか?  
民衆の中にウルヒと思われる神官がいたというから命の危険も充分にある。
あれを失ったらわたしはどうすればいい?
「陛下!陛下!どちらにおられますか!?」
「こっちだキックリ!」  
どうしたんだ?やけに騒がしいな。
「陛下!ルサファが戻りました!!」
ここしばらく途絶えていた生存者!  
何より戻ってきたのはユーリを守るために船に乗り込んだルサファだ。
だがユーリの乗艦に乗っていた者からの報告では、船は瞬く間に沈み船乗りですらそのまま海の藻屑となった者も少なくなかった。
余計な期待は禁物かもしれない。
だが、 「ルサファがもどったというのは本当か!?」 
視界に映るのは側近たちに囲まれた元気なルサファの姿!
「ルサファ!よくもどった!!」  
とたんにルサファは平伏し姿勢を正した。
「皇帝陛下!!近衛副長官ルサファただ今もどりました!! 長く任を離れましたこと申しわけございません!!」 
そしてそこはユーリの姿は…無かった。
あたりまえだ、ユーリがもどったのであれば真っ先にその報告があるだろう。
「いや本当におまえだけでも無事でうれしい…」 
そうだ、生存者がひとりでも多ければ…
「いいえわたしなどより…!  ユーリ・イシュタルさまご無事でいらっしゃいます!!」 
!!  ユーリが…? 「ユーリが…無事で…!?」
側近たちがルサファにユーリの所在を確かめている間、わたしの頭にあったのはユーリが生きていたという事実だけだった。
そしてそのユーリがいると思われる場所は。
「ルサファ その姿からするとおまえはエジプトからもどったようだな」
瞬間ルサファの顔色が変わる。
やはりユーリは…。
「ユーリはラムセスのところか?」
「御意にございます」  
押し殺すようなルサファの声に更なる不安を覚える。
「子は…どうした…?」
一瞬の沈黙の後殺しきれない感情と共に出てきた答えは
「…御子はご乗艦沈没が原因となってご流産なさいました」
流産!!  
ユーリが正妃の地位を捨てることになるとしても守ろうとした命。
どれほど苦しんでいるだろう?  
どれだけ哀しんでいるだろう? 
だが…  だがユーリは無事で生きている…!!
生きている!!
「ですがユーリさまはラムセス将軍のメンフィスの屋敷で手厚い看護をうけられお体の心配はございません」
続く言葉を話すルサファの目は違っていた。
「それと将軍より陛下に伝言をあずかってまいりました」
あの男から伝言?
「ユーリさまをあずかっている。欲しければとりもどしに来い。 とのことでございます」
あずかっている?
とりもどしに来いだと!? 「…あの男…」
身体の奥から激情が立ち上る。
「もちろんユーリはかえしてもらう!!」
引き離された距離。
不安な時間。  
どれだけ心細い思いをしているだろう?  
一刻も早くおまえをこの腕に取り戻そう。
                                          END

ユーリが最初に会ったのがザナンサ皇子だったら

ユーリ「ここはどこ」

「早く逃げなきゃ、誰か助けて!」

ザナンサ「0×☆~;*」(追われているのか?)

ユーリを物陰に隠し追っ手をやり過ごす二人

ユーリ「助けてくれて、ありがとう」

ザナンサ「☆#◇×▽ー$」(いったいどこから来たんだ?)

「0z<*+◆☆」(このままにしておけないからかくまってやる)

ユーリ「え~、なにどうなるの」

この人悪い人には見えないし、ついて行ってみようと思うユーリ

そして二人はザナンサの屋敷へ

一年過ぎた後でもヒッタイトの言葉が充分に理解できないユーリであった

もしもユーリのおなかの中のデイル皇子と話が出来たとしたら


僕が母上のおなかの中にやって来たのは・・・

ちょうど父上が正妃に母上をともめてる時だったと思う。

あの頃も父上は母上べったりだったので、日時の確定は出来ない。

僕は母上に僕の存在を早く気づいてもらおうと、必死で合図を送っていた。

が・・・

近衛長官を引き受けるかどうかで悩んでいた母上は、ぜんぜん僕のことに

気がつかず、さっさとエジプト戦に備えてウガリットに旅立ってしまった。

おかげで、アスランに揺られ居心地の悪かったのを覚えている。

そうこうしていると、母上が知らない男に捕まって、迫られているではないか!?

思いっきり母上のお腹をけり、母上につわりというものを経験させた。

それでなんとかその場をしのぎ、僕の存在を母上に知らせる事に成功した。

ラムセスは結構いいやつだとその時思った。

そして無事父上に救出され父上も僕の存在を知ることとなる。

父上の過保護にはチョットしんどい気もするが、この無鉄砲な母上と、母上のことにな

ると見境のなくなる父上のためにも、早く生まれて僕がしっかりしないと!

と、思ったのも事実だ。

生まれる前からこんな苦労をさせられる僕って・・・

生まれたらもっと大変な気がするのは気のせいだろうか・・・

そして、もうひとつ!

これが一番心配だ。

無事生まれる事が出来るのか、少しの不安が僕にはある。

ウルヒじゃまするな~、読者はみんな待ってるんだゾ~。

僕の誕生を!

一番待ってるのは父上かも・・・

僕の誕生+そして母上が身軽になることを・・・


*この時点でもうウルヒ死んじゃってるのですが、この短編、ウガリット戦の連載時点で書いてますのでその点は御容赦ください

もしも氷室君が「天河」コミックを読んでたとしたら
                  
{のぞみさんのリクエストに応えて}


ある日偶然立ち寄った書店。

何気なく1つのコミックを手に取ると・・・・

ユーリではないか~

横で腕回している男は誰だ~

人が必死で探し回っていたというのに!

内容読んでみたら最初の方だけじゃないかーーーーーー

僕の事出てきたのは!

もう14巻あたりじゃ家族の事は出てきても、氷室のひの字も出てこない。

作者も僕の事忘れてしまったのか~

まあ・・・

一人ぼっちの世界でのユーリの心変わりもわからないではないが・・・

なにもこんなに僕に見せ付けなくてもいいだろう!

あの日・・・

ユーリを見失った罪悪感から・・・

彼女も作らず一生懸命君を探し回っていたというのに。

僕の高校生活を返してくれ~

これも全部ナキアのせいだ~

ナキアへの復讐を心に誓い、タイムスリップを真剣に研究する氷室君の誕

生の瞬間であった。
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